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将来像を語り続ける 【パターン】

システム設計の基本の発想が「成長し続ける全体」パターン。

ただし、何も考えずに、コードをかき集め、アプリケーションを寄せ集めても、「成長し続ける」わけではない。

「成長」というのは、規模の拡大という意味もあるけど、「質」の充実、という意味をある。

だから、単にコードやアプリを産めよ増やせよ、では「成長しつづける全体」にはならない。

量的な課題は、わかりやすいけど、ほんとうに大切なのは「質」。

a growing whole (成長しつづける全体) を良い質に保ち続けるためのパターンが、「将来像を語り続ける」こと。

全体の将来像


システムが、健全に成長を続けるための基本が「全体の将来像」

昔、NHKの人形劇で、「ネコジャラ市の11人」というのがあった。その挿入歌で、マイホームタウンという歌。

---

ここはまだ 石ころごろごろ 
ここはまだ 草がぼうぼう

ここはまだ やぶ蚊がぶんぶん だけど

ここに まち をつくろう
ぼくたちの まち ふるさと

おおー マイホームタウン (マイホームタウン)
おー マイホームタウン 

ぼくたちの まち そこは、空の虹がよくにあう
おおー マイホームタウン (マイホームタウン)
オーマイホオームタウン

---

これが「将来像」ということ。
いまは、まだ、石ころごろごろだけど、そこに、「まち」という将来像を、想像している。

「まちづくり=システムづくり」。
全体を健全に発展させるのは、こういうポジティブな「将来像」が、たいせつなんだ。

現実を単純に延長したら、いつまでたっても、石ころごろごろ、草がぼうぼうのままなんだと思う。

「ぼくたちのまち ふるさと 虹のにあう まち」という将来像を、思い描き、そこに少しずつ近づいていくことが " a growing whole " 「成長し続ける全体」ということなんだ。

語る


「語る」というのは、一人の思い込みや、一方的なスピーチやアナウンスではない。

最低でも、5人が、口ぐちに、はっきりしゃべらなきゃいけない。

「吾」という字が、「五つの口」になっているでしょ?

もっとも、「五」は5という意味より、「たくさん」というのがもともとの意味らしい。

まあ、とにかく「将来像」は、個人の妄想ではなく、みんなで「語り合う」ことが大切。

「成長し続ける全体」システムは、一人の作業では、どうにもならない。

関係者が、みんなで「将来像」を語り合うことが、 a growing whole 「成長し続ける全体」を生みだす、原動力になる。

語り続ける


システムは、時空間の中にこそ、存在する。時間とともに成長しつづけていくもの。

それは、一人の人間、あるいは、ずっと固定のメンバーだけで達成できることではない。

時間とともに、メンバーが入れ替わり、また、新しい、外部環境も移り変わっていく。

そういう状況で、システム全体が、いつも健全に発展していくためには、「将来像」を語り続け、語り継いでいかなきゃいけない。

ヨーロッパのまちや田園が、なんとも言えない落ち着き、心地よさを維持しているのは、そういう「将来像」を語り続けているからなんだと思う。

過去を守っているのではなく、今も、将来像を求めて成長しつづけているから、ああいう心地よさが維持できている。

情報システムの将来像


情報システムは、人間が活動していくための、道具なんだと思う。

まちも、企業組織も、すべて、人間が活き活きと、良い暮らしをするための道具。

みんなで語り続けるべき、エンタープライズの情報システムの将来像とは、

◎それを使う人が活き活きと良い仕事をしている
◎それを作る人が活き活きと良い仕事をしている

という姿だと思う。

今、書いている一行のコードが、そういう方向にちょっとだけ、近づけただろうか?

今度のWebアプリは、そういう方向に大きな一歩になるだろうか?

そういうことを、日常の仕事の中で、「将来像」として、なにげなく語り合うことが、健全なエンタープライズアプリケーションシステムを、「成長し続ける全体」にする、原動力になる。

参考にしたネタ


「パターン言語」のアレグザンダーの「ビジョン」、DDD のエバンスの "Domain Vision Statement" などから、着想を得た。

あと、今年の春先にバルセロナに旅行し、100年以上も建設を続けている、サグラダ・ファミリア教会の強烈な印象も、「将来像を語り続ける」をパターン言語の重要なアイテムとした、直接の動機。

いまも、大がかりな工事、いろいろな内装、修復工事を、大勢で続けていた。

職人たちが、どの程度自覚して、言葉にしているのかはわからないけど、そこには、偉大なるガウディが思い起こした「将来像」を語り続けているオーラ、エネルギーを感じた。
ミラノのドーモも、ケルンの大聖堂も、フィレンツェの大聖堂も、ローマのサンピエトロも、全部、こうやって、将来象を語り続けながら、成長してきたんだろうと。

そして、小さな村にも、かならずある小さな教会も、いまでも、少しずつ、近隣の信者たちが、わずかな献金をあつめ、自ら汗をかき、小さな成長を続けている、エネルギー(活力)を感じるものが多い。

大きな設計をして、一気にかたをつけるのではなく、「将来像を語り続け」ながら「成長しつづける全体」を日々、実践していくことが、「健全」なシステム造りなんだと思う。

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