<< パターン言語の候補 | main | 将来像を語り続ける 【パターン】 >>

成長し続ける全体 【パターン】

エンタープライズアプリケーションとは、事業の道具であり、基盤なんだ。

事業が、日々、変化し成長を続けるためには、エンタープライズのソフトウェアも、変化を続け、成長を続けていくことがだいじ。

エンタープライズ:事業


エンタープライズといっても、大企業という意味ではない。

一人で独立して商売はじめるのも、事業。
売上や利益の管理はパソコンの表計算ソフトで、やっているかもしれない。
この規模だと、見積もりや請求も、表計算ソフトかな?

私が、現在、情報システム技術者として、かかわっている事業は、もうちょっと規模が大きくて、どれも、数十人の規模。

いずれも、事業内容は、インターネットを使ったサービスの提供。人と仕事との出会い、とか、企業と企業の出会い、というインターネットを使ったマッチング系のサービス。

10年くらい前に、はじめて、インターネット系の新規事業のシステム開発に飛び込んだ時は、事業展開のスピード感、夢はあるがリスクだらけの不安定感、事業自体が手探りとトライアルの連続、というアドベンチャー感が、カルチャーショックだった。
(もっとも、それがおもしろくて、すっかり、そっち系専門の技術者になったしまった)

成長し続けるシステム


10年前は、自分は、ウォーターフォール系の重厚長大な設計・開発の方法論しか知らなかったので、事業が求めるスピード感、事業の方針やビジネスルールの大幅な変更に、うまくこたえることができなかった。

そんな動きの速い、不確定要因だらけの事業のための、エンタープライズアプリケーションを、10年、やり続けてきて、アジャイルな開発のやり方、オープンソースのフレームワークの発展などに刺激を受けながら、システムの設計の考え方が、自分の中で、大きく変わった。

ここ数年は、REST系のAPIを使った開放的で、疎結合な連係方式とか、Twitter が象徴する「非同期のメッセージング」技術には、多いに触発されてきた。

直近だと、スマートフォンアプリという、いつでも、どこでも使える、クライアント側ソフトウェアにものすごい可能性を感じている。

そして、システム設計の基本理念として、いま、自分がもっともこだわっているのが、「成長し続ける全体」という考え方。

これは、ウォーターフォール系の基本理念とはだいぶ違っている。

ウォーターフォール


ウォータフォールの方法論は、プロジェクトの最初に、全体設計と要件定義を行い、それを「固定」の目標としてシステムを構築する手順論。

マスタープラン、グランドデザインを決めたら、それが、固定・不変のゴールと考える。

a growing whole : 成長しつづける全体


これに対し、「成長し続ける全体」とは、システムのあるべき姿は、事前にだれも決定できないし、すべきでもない、という発想。

これは、私にとって、理屈から生まれた発想ではない。

インターネット系のビジネスを事業領域として、激しく変化する事業環境の中で、日夜奮闘している経営者、企画スタッフ、営業マン、カストマーサポート担当者、管理部門のメンバーたちと、いっしょに仕事をしてきた情報システム屋として、自分がなすべき仕事、達成すべき使命としてたどりついた発想であり、心境。

情報システムは、成長し続ける事業のための道具であり、基盤。そして、事業をブレークさせる強力な武器でもありえる。

そのために、もっともたいせつなことは、システムを、"a growing whole" 「発展し続ける全体」 と考えること。

コードの一行の追加や変更も、この「成長し続ける全体」の一歩だということ。
個別のWebアプリケーションや、データ連係機能の開発なども、すべて、「成長しつづける全体」の活動の一部。

ソフトウェアをつくるための活動、企画、分析、設計、開発、デバッグ、...。

どんな活動でも、それは、「成長し続ける全体」 a growing whole に参加し、貢献することなんだ。

「システム」とは wholeness (全体性)があってこそ「システム」。

そして、wholeness (全体性) は、事前に決定できるゴールではなく、日々の活動を通じて少しずつ生みだしていくもの、という「成長し続ける全体」という発想こそ、「システム設計」の基本の発想である。

参考


a growing whole の発想は、C. Alexandar "A New Theory of Urban Design" ( 邦訳「まちづくりの新しい理論」)そのままです。

「まちづくり」も、もちろん、「システムづくり」の一つです。

情報システムの設計を考えるとき、「まちづくり」の設計の考え方は、そのまま参考になると思っています。

また、「事業活動」も、システムづくりなんだと思います。

事業経営者、都市設計家、そして情報システムの設計技術者というのは、ある部分で同じ課題を持ち、同じ発想や手法で、その課題に立ち向かっているんだと思います。

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>
システム設計日記を検索
プロフィール
リンク
システム開発日記(実装編)
有限会社 システム設計
twitter @masuda220
selected entries
recent comment
  • 番号より名前。 ニーモニックコードより名前。 【パターン】
    師子乃 (03/10)
  • Smart UI が優れている?
    masuda220 (03/10)
  • Smart UI が優れている?
    kagehiens (03/09)
  • オブジェクト指向プログラミングの教え方?
    masuda220 (12/05)
  • オブジェクト指向プログラミングの教え方?
    ZACKY (12/04)
  • 「オブジェクトの設計力」 スキルアップ講座やります
    masuda220 (08/14)
  • 「オブジェクトの設計力」 スキルアップ講座やります
    kompiro (08/14)
  • 「オブジェクトの設計力」 スキルアップ講座やります
    masuda220 (06/13)
  • 「オブジェクトの設計力」 スキルアップ講座やります
    JHashimoto (06/13)
  • 「オブジェクトの設計力」 スキルアップ講座やります
    masuda220 (02/28)
recent trackback
categories
archives
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM